全体最適の範囲が変わった農業
部分最適より全体最適
農作業の一連の作業の中で、ある行程の所がいつも詰まって渋滞を引き起こす行程がありますよね。
そこを「制約資源(ボトルネック)」と呼びます。
この場合、制約資源の前工程の設備投資をしたり、後行程に人を増やしても、
結局 詰まっている制約資源を最適化しないと、他の投資は、全体をスムーズに流すことに、一切影響しません。
TOCの鉄則ルールとして、「部分最適より全体最適」があります。
制約資源を集中して考えていくことを「全体最適」と言い、
制約資源を考えないで、あちこちの部分を最適することを「部分最適」と言います。
では 農業における「全体って何?」
全体の図で考えてみました。
「コントロールできる範囲」とは、農家の方々を行っている一連の農作業の業務。播種・定植・収穫・出荷などです。田んぼ・畑の土作りなども含まれますね。
ここにJAさんに出荷をするなどがありますので、それが「責任ある範囲」となります。
全体最適を考える「全体」は、
今までは「コントロールできる範囲」の中か、少し「責任ある範囲」にはみ出している所まででした。
自分の「コントロールできる範囲」が精一杯の農家も多かったと思います。
全体の範囲が変わったことに意識
しかし、今は、必ずしもJAへの出荷に限りません。
他への中間流通業者への出荷、産直、スーパー、直売り・・・
「責任のある範囲」に大きく全体枠が移っているのです。
それだけでありません。
直接、値付けして、消費者に販売できるようになると、自分の農園の名前がブランディングになり、それによって自分の影響する範囲が出てきたのです。
今までは、「誰が作って農産物」が分からないまま、消費者に届いていたので、「影響する範囲」が無かったのですが、
この部分に「全体枠」が広がってきたのです。
SNSでの情報発信も出来るようになり、HPでブログを発信している昨今。
「影響する範囲」が良い意味で 広がって可能性が高まっています。
日本のみならず「世界」という範囲に広がっている農家もあります。
営農フローを作れない農家
TOCセミナーをすると、業務フローは作れます。
ただ、もっと全体枠を広げた営農フローが作れないのです。
影響を及ぼす範囲に対して、どう集客するか、どう納期での数確保とか、品質開発とか、固定費に戦略費F4を予算計上出来ません。
この戦略費までをフローに書けないのです。
だから、業務フローの前に、営農フローを推奨しています。
この間、農業TOC夜会をして、「アンビシャスターゲットツリープログラム」を行いました。
これは、目標に対して、ツリーを作るように、中間目標を時系列で並べる物なのですが、これをやると、「方針の制約(ボトルネック)」を見つけやすくなります。
そうすると、固定費の戦略費F4を考えるように なってきました。
TOCをどう生かすして、全体枠をより「影響の及ぼす範囲」にまで広げた営農フローが大切です。
そうなると 小さな部分最適でない大きな全体最適によって、余裕(時間・お金)を生むことに繋がるのではと考えています。
TOC実践の農家さんと触れあうチャンスが、農業TOCサミットです。
是非、興味のある方は参加下さいね。
投稿者プロフィール
-
・(株)ソフトパワー研究所の「TOCジュニアインストラクター」
・教育のためのTOC 国際認定資格
・山形県農業経営相談所「登録アドバイザー」
・農業コンサルタント
・山形県よろず支援拠点相談員
・合資会社そふと代表
・たくらみ屋
最新の投稿
- 農業チャンネル2020.04.22第1回 農業チャンネルzoom夜会で見えてきた物
- 農業TOC2020.01.23水田を照らした農業TOCサミット
- 農業MQ会計2019.12.18第6の要素 「 H」
- 農業MQ会計2019.12.07Mで考えない。MQで考える。